技術講演会・総会・懇親会

更新日:2020年03月06日

千葉大学画像工学同窓会の技術講演会・総会・懇親会が2月6日、page展と合わせ2月6日、東京の池袋サンシャインシティ文化会館の会議室で行われました。
 総会は、各議案が滞りなく承認され、懇親会はこじんまりとでしたが、例年通り久しぶりの旧交を温めました。
 総会前に開いた技術講演会は、連年通り2件。概要は次の通りです。

Judd賞受賞講演「色覚の多様性」

矢口博久千葉大学名誉教授によりJudd賞受賞の記念講演が行われました。
 Judd賞は色彩科学分野のノーベル賞とも呼ばれる、この分野で世界最高峰の賞です。ヘルソン・ジャッド効果やJudd修正表色系等数々の功績を残したD. B. Judd氏を悼み1973年に設立され、AIC(国際色彩学会)が2年に1度授与しています。日本からの受賞者は矢口名誉教授で4人目となります。
 ご講演では、等色関数と錐体分光感度や反対色応答、輝度と明度、観測者条件等色について、基礎的なことから個々人の特性による色覚の多様性といった最新の研究までお話しされました。
 近年、発光波長が狭帯域の原色を使用した広色域のテレビやディスプレイがトレンドとなっています。狭帯域の影響により、色覚に異常がある人だけでなく、加齢による水晶体の光学濃度の変化により多くの人が、設計者が意図したのとは違う色で観察している課題が説明されました。
 色覚の多様性については今後もご研究の課題として取り組みたいという、矢口名誉教授のご功績と熱意の双方が感じられ、様々な聴講者に励みとなるご講演でした。
(今井良枝:三菱電機株式会社 情報技術総合研究所勤務、1999年卒)

電子ペーパー型ディスプレイの現状と電気化学反応を利用した調光素子

中村一希千葉大学准教授から表題でご講演いただきました。
 人間同士の伝達手段において五感によるものとして、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚があるのは周知の通りですが、今回のご講演にて電子ペーパーにて様々な画像形成方法を用いてリライタブルを兼ねた表示ディバイスの研究開発をされているご講演を楽しく聴かせて頂きました。画像工学と言う一つのキーワードを伝統として受け継ぎ、表示ディバイスとしての紙から始まり、電子ペーパー、液晶、有機ELと画像の世界が何処まで広がって行くのか、未来に向けた夢のある世界のご講演であったと思います。
 2020年の3月の卒業式にて学部としては最後の画像科学科の担任の先生が中村一希先生ですが、今後は工学研究院にあるイメージング科学コースとの融合も踏まえ、画像科学系・情報画像系を問わず画像工学の発展に寄与される事を期待してやみません。この度のご講演について改めて御礼を申し上げます。
(平賀祐二:株式会社キーテック 社長、1980年卒)

矢口博久名誉教授

矢口博久名誉教授
(千葉大学画像工学同窓会会長)

中村一希准教授

中村一希准教授
(千葉大学大学院工学研究院物質科学コース、旧 融合科学研究科 画像マテリアルコース 工学部画像科学科)